2017-04-27
peephole 9
抱きしめられてる。
ドキドキ…ドキドキ…
静まれ心臓、バレちゃう。
「あ、…のぅ、……」
「あっ、ごめんな。
やっぱりやると思ったんだよあいつ。」
「えっ、…と。」
「ん、どうした?
さっきから、言いたいことあるならちゃんと言いな。」
「あの、いつまで、引っ付いてるんですか?」
「えっ、嫌だったの?」
ちょっ、何を言い出すのか、こんな至近距離で…
勘違いしちゃう、それに。
顔、ダメっ…
チュッ…。
そっとおでこに当たる柔らかな感触、グッと目を閉じて体が強張る。
「可愛いなぁ、本当、食べたくなちゃうよ、
…本当に食べてもいいかなぁ。」
「………。」
首を大きく振る。
真っ赤な顔でする意味のない抵抗。
そして、その仕草は相手を煽る。
揺れる小さな顔を大きな掌が包み込む。
潤んだ瞳が大きく見開かれ見つめている。
「ずるいなぁ~、そんな顔されたら何もできなくなるよ。
ごめん、何もしないから。」
ふっと締め付けられていた体がストンと力なく落ちる。
離れて行く腕を掴んでいた。
「…っや。」
「……ずるいなぁ、知らないよ。
引き止めたんだからな。
もう嫌は聞かない。」
そう言って引き寄せ重ねる唇。
息もできない程狂おしいキス。
絡まる舌と唾液。
首に回した腕が髪を弄る。
腰に回った腕に力が入り、触れ合う腰に熱を感じる。
くちゅ、くちゅ、ちゅくっ、ちゅぱっ。
糸を引いて離れる唇。
「家で待ってて…
すぐに帰るから。」
「…うん。」
こちらを振り返りながら走っていく。
どうやって帰ったのかもわからない。
ふわふわのまま、家についていた。
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